排尿・排便の基準値やその異常(尿量・回数の異常、尿失禁、便秘、下痢)の分類についてザックリ表にまとめました。
国試にも頻出ですのでおさえていきましょう
排尿・排便の基準
健康時の尿と便
1日の尿量 |
1000~1500ml/日 |
外観 | 透明~淡黄色・淡黄褐色 |
比重 | 1.005~1.030 |
PH | 4.5~8.0の間で変動 |
尿蛋白 | 100~150mg/日 |
回数 | 1日4~7回 |
項目 | 正常 |
排便回数 | 1~2回ほど |
排便量 | 1日約100~250g |
色 | 黄褐色 |
健康時の尿と便の正常です。
文献により、回数やPHなどの正常値が変わることがありますが大きく変わることはないようです。
排尿・排便障害
下部尿路機能障害は膀胱と尿路の機能障害であり、畜尿障害と排尿障害に大別されます。
それによる症状を下部尿路症状という。
量、回数の異常は以下の通り
乏尿 | 1日尿量 400ml以下 |
無尿 | 1日尿量 100ml以下 |
多尿 | 1日尿量 2500ml以上 |
尿閉 | 膀胱に尿があるが排尿がない状態 |
頻尿 | 日中8回以上の排尿 |
尿失禁
尿失禁には器質性尿失禁と機能性尿失禁があります。
器質性尿失禁:排尿機構の障害。
機能性尿失禁:排尿機構は保たれているが、運動障害などで移動困難な場合や認知症などでトイレに行 くことができず失禁してしまうこと。援助として、定期的なトイレへの誘導などがあります。
器質性尿失禁 | |||
内容 | 原因・疾患 | 治療 | |
切迫性尿失禁 | 急な強い尿意が起こり、我慢できず尿失禁してしまう。不随意に膀胱が収縮する。 | 神経因性膀胱、尿路感染、膀胱炎、加齢変化など | 抗コリン薬 膀胱訓練 |
腹圧性尿失禁 | くしゃみや立ち上がり時など、腹圧がかかった際の少量の尿漏れ。 | 骨盤底筋機能の低下、加齢など | 骨盤底筋運動 |
溢流性尿失禁 | 膀胱に尿が充満すると、括約筋が限界を超え、少量の尿失禁をしてしまう。 下部の尿路通過障害で起こる。 |
前立腺肥大、尿道狭窄、神経因性膀胱など | 導尿 原因疾患の治療 |
反射性尿失禁 | 尿意がなく、意思とは関係なしに尿失禁してしまう状態。 | 仙髄から、それより上位の脊髄障害、脊髄損傷など | 導尿 |
便秘
便秘とは、排便が困難になっている状態のことです。3日以上排便ないことを便秘としている病院も多いです。
発生機序で機能性便秘と器質性便秘に分けられる。
便秘 | 状態 | 原因 | |
機 能 性 便 秘 |
弛緩性便秘 | 大腸の緊張や蠕動運動が低下、腹筋の筋力低下により腹圧がしっかりとかけられない状態。 | 食物繊維の不足、加齢、運動不足 |
直腸性便秘 | 排便の我慢により、便意の閾値が上昇し便意が起こりにくい状態。 | 排便の我慢、下剤や浣腸の乱用 | |
痙攣性便秘 | ストレスなどにより副交感神経の過剰な作用によって大腸が痙攣し便の移送が障害された状態。 | 精神的・心理的要因、過敏性腸症候群 | |
器質性便秘 | 腸に炎症や腫瘍などにより狭窄など通過障害、腸以外の疾患の圧迫により腸の運動障害が起きている状態。 | 大腸がん、炎症、腫瘍など |
下痢
分類 | 原因 | 疾患 |
浸透圧性下痢 | 腸内に高浸透圧のもの(薬・食物)が水を腸管に引き込むことによる | 薬剤性、乳糖不耐症、慢性膵炎など |
分泌性下痢 | 粘膜分泌の増加 | 細菌性大腸炎、内分泌腫瘍など |
滲出性下痢(炎症性) | 腸の炎症による浸出液の増加 | 大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など |
腸管運動の異常 | 腸管運動が亢進:急速に通過することによる吸収障害 | 過敏性腸症候群など |
大腸の働きとして、水分の吸収、電解質の吸収があります。
下痢をするとそれらの吸収が妨げられ排泄されてしまうため、脱水や低カリウム血症。
また、腸液はアルカリ性であるためその排泄が亢進することにより、体内のアルカリの減少することにより酸性に傾いてしまうため代謝性アシドーシスをきたしてしまう恐れがあります。
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